今回はケニアと絡めて、一番の関心分野である社会的投資とITをについて2回に分けて紹介していきます。
第1回は社会的投資について
■社会的投資とは?
比較的新しい概念という事もあり社会的投資に定義の様なものは決められていませんが、個人的には社会的価値を創出する事業への長期的な視点での投資だと解釈しています。
途上国を中心として日々の暮らしを改善する為の新たなお金の流れとして、アメリカではすでにacumen fundやアショカ財団が社会的地位を確立し、国内でもARUNなどがじわりじわりと知名度を上げていくのではないかと期待しています。
そんな社会的投資ですが、その成功例として挙げられるのが、EcotactのIkotoilet。
旅先で、トイレを見つけるのに苦労して、公共のトイレは衛生環境最悪だったりトイレットペーパーなかったりと当てにできず、だいたいはマクドナルドやケンタッキーなどのファーストフードショップに落ち着くということはよくあることだと思います。
けれど、ここナイロビでは頼みの綱の海外のファーストフードショップはたぶん未だ進出して来ていません。
そこで、このトイレ問題の解決策となるべくイコ・トイレットは生まれました。
5シリングで適量のトイレットペーパーをもらい、衛生環境の良いトイレで用を済ませられるというサービスで、その周辺ではトイレが近くにあると安心するという人間の心理を利用して露店や靴磨きなどのビジネスも便乗して発展していきました。
ちなみに、founderはこの功績が認められて、2009年のアフリカの起業家大賞にも選出されました。
もちろん社会的インパクトに主眼を置きつつも、投資リターンを得る為には、綿密な調査のもと、リスクを覚悟して、経営支援や適したネットワークの紹介などより投資先にコミットする事が求められるなど、従来以上に労力を要されるわけですが、
貧困解決に向けた手法としては最適な方法じゃないかと注目していました。
僕自身ケニアに行く前からそんな考えを持っていたのですが、大学教授兼ローカルCBOのFounderでもあるハズバンドと話すことで、その思いをさらに強くしました。
というのも、彼曰く、現地の多くのNGOは貧困を解消する存在ではなく、貧困があるが故に存在してしまっているそうです。
これはどういうことかいというと、多くのNGOは貧困解決を大義に掲げて国際機関や大企業から援助を受けていて、一度貧困を解決してしまうと援助を受けられなくなってしまう、だから彼らは貧困を解決できないということです。
彼曰く、だからこそ援助に依存しない「社会的影響」と「収益性」のあるSelf-sustainableなSocial businessをおこなっている組織こそが貧困を解消していける存在であり、
そういった組織に投資できるように精査し、援助に頼らずに自立していけるよう手伝っていくことがこれからは大切だと言っていました。
これはまさに社会的投資のことなんじゃないかなと思って、
「いま一番注目している組織はどこか?」と質問したら、
彼はやはり「Acumen fundは面白い。」と言っていました。
この様に、貧困の現場でも活躍する人達にもその存在が注目を集めつつある社会的投資ですが、
個人的に、貧困とは「機会へのアクセスが出来ない状態」を意味するものだと解釈しているので、
投資先の事業の成功によって、間接的に貧困と共に暮らす人達が機会にアクセス出来る環境の整備に貢献するという点で大変興味深い投資手法だと思います。
次はケニアのIT事情についてまた後日紹介していこうと思います。
No comments:
Post a Comment