Saturday, September 10, 2011

ケニアの教育事情


現在、ケニアでは新学期が始まったというのに、全国規模で公立の教師達が自分達の劣悪な労働環境を改善しようとストライキしております。

かたや、子供たちは呑気なもので、夏休みが延びたと嬉しがっている感もあるのですが、まぁ確かにその年頃だと学級閉鎖とか何かにつけて休みが増えたら喜んでたなーと回想しつつ、

今回はケニアの教育事情について紹介しています。


【概観】
・ケニアの教育制度:8-4-4(Primary-Secondary-Higher education)

・進学制度:primary schoolGrade 8KCPE(Kenya Certificate of Primary Education)を受験。その成績とエッセイをもとにして最大5つの学校に入学願書の提出。Secondary schoolでも同様にForm 4 KCSEを受験しその成績によって進学できる大学が決定。Grade C+以上が高等教育機関が受け入れる最小のスコア。B+以上で国立大学に入学可能。毎年2月にTop100(?)の生徒と中学校が公表されるなど、2月の成績発表は学校全体の最大の関心事となる。

・進学率(初等→中等→高等):92.5%42.5%→15.5(By EMIS in 2008)

・初等教育における教師対生徒の割合:1:45

【一般的な問題点】
・ケニア政府が公立小学校の無償教育や学校の建設など初等教育に注力するものの、中等教育や高等教育においてはまだまだ手つかずの部分が多く、専門的な教育を受けた教師や教授の不足が問題になっている。

・教育の質としてはupper-middleが住む地域に多くある上位の私立校→公立校→スラムなどに多くある下位の私立校という順になっており、階層間格差は顕著である。

・「私立の教師(上位の)は父親であるのに対して、公立の教師は警察官(ケニア市民にとっては恐怖の象徴的存在)である。」といわれるように、私立校には創造性をはぐくむ土壌があるのに対して、公立ではカリキュラム通りの詰め込み教育。

それに加えて、スラム固有の問題点としては、

1.学費
11ドル以下で生きる過程が大半といわれる中で、授業料や制服代などは大きな負担となる。(給食は基本支給されていないので昼食時は帰宅) 

2.教師の質
学位も持たず、専門的な教育をうけずに教師になるUntrained Teacherの割合の多さ

3.教育機会の少なさ
夏休みの課外活動や授業後の補習などが充実しておらず、夏休みが始まったら2か月鉛筆を待たずに過ぎて、学校に戻ってくるころにはまた一から教えなおさなければいけない。

4.親の教育の重要性の認識の希薄さ
親の世代で教育を受けている人が少ないので、そもそもとして教育の重要性を認識していない。学校に通わせる暇があったら、家の手伝いをしてもらった方がマシという考えが根付いている。


ITに興味津々な自分としては、
どこの国にしても、いまの時代は教育とITへのアクセスはCrucialなので、ケニアの様な国ではITが教育格差を埋めるカギになるんだろうなと期待しています。

Saturday, September 3, 2011

いたわることの難しさ


9月に入ったという事で、僕のケニアでの活動もあと1か月を切りました。
ケニア全体の雰囲気としてポレポレ(ゆっくり、のんびり)なのに関わらず、時がたつのはやっぱりあっという間です。

この2カ月、当たり前だけども口で言うのと実際にそれをやるのは大違いだなという事を日々実感しています。

その中でも、特に「相手の立場に立って物事を考え、行動する」ということに大変難しさを感じています。

というのも、やはりバックグラウンドが全く違う環境で育てきた人たちと暮らしているので、暗黙知ではなく彼等の価値観や日常生活を日々想像力を働かせて考える必要があるからです。

その中でも、いまは彼らのスラムの暮らしにありがちな問題点に、
頭ではわかっていても感情の部分でどうしても相手の立場で考えきれないことがあります。

それはいまのボスとの関係なんですけども、

この1か月で、自分とボスの二人でスラムの教育に関するプロジェクト立ち上げの準備に邁進してきました。
1か月間でスラムの現状をリサーチして、事実を数字として集め、色々な人の話を聞き、提案書を書き上げてきて、
やっとこさテレアポしつつ企業に営業にいったり、大学にいって学生をリクルーティングしにいこうという段階でした。

仕事の現状としてはそんな感じなのですが、彼個人の現状としては、
彼の家には新しい子供が生まれたという事もあり、「お金」と「自由な時間」がありません。

その結果、タウンでの営業に出かける時も、交通費をねん出できず自分一人で行くことがたびたびだったり、メールを返信するお金がなかったり、
また、子育てのせいで夜中に睡眠をとれず来る予定の時に来れないという日が最近まで頻繁に続いていました。
そして、つい先日
「家族を養うために、お金を稼ぎに職探しに町に出るから、しばらく事務所には来れなくなる。」
といわれました。

彼もそれが仕事にどれだけ迷惑をかけるか分かった上でいっているので、すごい申し訳ない気持ちでいっぱいだろうし、自分ももし彼の立場だったら間違いなくそうするだろうし。
だからこそ、そういった彼の事情を十分にくみ取った上で、
「家族の為にいい職見つけて適度にお金稼いで早く戻ってきて、その間は自分の最善を尽くすから。」
といえればいいのですが、やっぱり自分はその時彼にそんな励ましの言葉をかけてあげることがどうしても出来ませんでした。

今後どうしていこうかと考えつつも、日ごろの小さな不満も相まってこちら側の視点で考えてしまい、やるせなさで一杯になってしまいました。


だけどもその結果として、
「相手の立場に立って物事を考えること」と
「相手の立場に立って行動すること」
は必ずしも一致するということじゃないんだなと身をもって深く感じることが出来た出来事となりました。


ということで、上述のように仕事的には今はなかなか苦境に立たされている感もあるのですが、

苦しい時こそ、人はいろいろな事を考え、乗り越えていく為に成長していくものだと思うので、日本ではなかなか経験できないこんな環境を存分に苦みその中で、多くの学びを得ていければと思います。

Tutaonana!!