Sunday, August 21, 2011

ケニアのIT


だいぶ時間があいたけど、次はケニアのIT事情について

ケニアで僕が個人的に面白いなと思っているのが、
M-PESA」というモバイルバンキングサービスと
盛んなICTトレーニングその中でも「Nairobits」というNGO,
それに加えて、ケニアのIT起業家が集まる「I-hub」というインキュベーターセンター
の3つです。


    M-PESA
M-PESAに関しては、「銀行口座を持たない貧困層の金融アクセスを可能にした通信業界1位のsafari.com(Vodafoneのケニア版)が提供するモバイルバンキングサービス」という感じなのですが、詳しいところはhttp://www.rising-africa.com/report/2011/234/を参照に。とにかく、世界的に見ても金融業界の最先端をいっているサービスといえるかもしれません。


    Nairobits
ケニアでも最近はITリテラシーの重要性が認知されてきているため、スラムでも多くのCBO(コミュニティーベースドオーガニゼーション)がコンピューター教室を開いています。その中でも、特に面白いサービスを提供しているなぁと感じたのがこのNairobitsというNGOです。45段階のクラス制にして、一番上のクラスを卒業すると組織でwebデザインの実務を積むためにインターンをして、その組織に気に入られたらそのまま正規採用されるという一連の流れです。失業率が40%とも50%ともいわれるケニアでスラム出身の人が職を得るのは至難の業にも関わらず、実際に多くの職を生み出している今会での結果は素晴らしいもので、ミレニアム開発目標の賞も受賞しました。なによりも20世紀にケニアでもICTが潮流になるだろうという未来を読んだ起業家の先見の明にはただただ感嘆するばかりです。ちなみに、隣国のウガンダとタンザイニアにもサービスを展開しているらしいです。http://www.nairobits.com/


    IHub
そして何よりも、このiHub。アフリカのシリコンバレーを目指すというだけあって、部屋全体にシリコンバレーで感じた楽観的でdo it思考な感じが漂っている気がしました、どことなく。この日はIPO48?というチーム制の2日間にわたる泊まり込みの大会の最中だったらしく、眠気に襲われつつコード書きながら時にウイイレに興じているところでした。そこで話した同じ年頃のイバン君曰く「ケニアでもアンドロイドアプリを中心にした波が5年以内に来るらしく、みんなそれに備えて日々プログラミングに研削している。」そうです。さすがに、若い自分からPCに出会える人は中流~上流階級の家庭の人達で、若いプログラマーの人達はみな良いところでらしいです。そんな話を聞きつつ、貧しい人たちはPCを中抜きにしてきっとスマートフォンにいくんだろうなーと感じました。ちなみに、スマートフォンなら100USドル程度で市販されている中国のhuaweiIDEOSという携帯端末が普及しつつあります。アフリカでも価格破壊の中心は未だに中国の会社の十八番です。http://ihub.co.ke/pages/home.php


またまたちなみに、インターネットにアクセスする際は、商業施設や大学だとkenya accesswi-fiが、個人ベースだとSafari.com(早くて回線安定)とAirtel, それにOrange,(回線不安定だけど、安い) Zukuのモデムを購入して使用料分を前払いという形が一般的です。


とにもかくにもアフリカの国という偏見からITなんて使えないだろーぐらいに思っていたんですけど、気付けば日本同様インターネットと毎日の様に繋がってました。スマートフォンを中心に貧困層もインターネットにアクセスできる日が来ると想定すると、やはりITの世界には貧困層が機会へアクセスすることを可能にする仕組み創りをするまだまだ無限大ともいえるチャンスが横たわっているんだなーと感じます。

いままでの話をまとめると、
途上国×IT×先進国×社会的投資
これが今現在の自分の関心領域です。


Saturday, August 6, 2011

社会的投資


今回はケニアと絡めて、一番の関心分野である社会的投資とITをについて2回に分けて紹介していきます。

第1回は社会的投資について

■社会的投資とは?
比較的新しい概念という事もあり社会的投資に定義の様なものは決められていませんが、個人的には社会的価値を創出する事業への長期的な視点での投資だと解釈しています。

途上国を中心として日々の暮らしを改善する為の新たなお金の流れとして、アメリカではすでにacumen fundアショカ財団が社会的地位を確立し、国内でもARUNなどがじわりじわりと知名度を上げていくのではないかと期待しています。

そんな社会的投資ですが、その成功例として挙げられるのが、EcotactIkotoilet。

旅先で、トイレを見つけるのに苦労して、公共のトイレは衛生環境最悪だったりトイレットペーパーなかったりと当てにできず、だいたいはマクドナルドやケンタッキーなどのファーストフードショップに落ち着くということはよくあることだと思います。
けれど、ここナイロビでは頼みの綱の海外のファーストフードショップはたぶん未だ進出して来ていません。

そこで、このトイレ問題の解決策となるべくイコ・トイレットは生まれました。
5シリングで適量のトイレットペーパーをもらい、衛生環境の良いトイレで用を済ませられるというサービスで、その周辺ではトイレが近くにあると安心するという人間の心理を利用して露店や靴磨きなどのビジネスも便乗して発展していきました。

ちなみに、founderはこの功績が認められて、2009年のアフリカの起業家大賞にも選出されました。


もちろん社会的インパクトに主眼を置きつつも、投資リターンを得る為には、綿密な調査のもと、リスクを覚悟して、経営支援や適したネットワークの紹介などより投資先にコミットする事が求められるなど、従来以上に労力を要されるわけですが、

貧困解決に向けた手法としては最適な方法じゃないかと注目していました。


僕自身ケニアに行く前からそんな考えを持っていたのですが、大学教授兼ローカルCBOFounderでもあるハズバンドと話すことで、その思いをさらに強くしました。

というのも、彼曰く、現地の多くのNGOは貧困を解消する存在ではなく、貧困があるが故に存在してしまっているそうです。

これはどういうことかいというと、多くのNGOは貧困解決を大義に掲げて国際機関や大企業から援助を受けていて、一度貧困を解決してしまうと援助を受けられなくなってしまう、だから彼らは貧困を解決できないということです。

彼曰く、だからこそ援助に依存しない「社会的影響」と「収益性」のあるSelf-sustainableSocial businessをおこなっている組織こそが貧困を解消していける存在であり、

そういった組織に投資できるように精査し、援助に頼らずに自立していけるよう手伝っていくことがこれからは大切だと言っていました。

これはまさに社会的投資のことなんじゃないかなと思って、

「いま一番注目している組織はどこか?」と質問したら、
彼はやはり「Acumen fundは面白い。」と言っていました。


この様に、貧困の現場でも活躍する人達にもその存在が注目を集めつつある社会的投資ですが、

個人的に、貧困とは「機会へのアクセスが出来ない状態」を意味するものだと解釈しているので、

投資先の事業の成功によって、間接的に貧困と共に暮らす人達が機会にアクセス出来る環境の整備に貢献するという点で大変興味深い投資手法だと思います。



次はケニアのIT事情についてまた後日紹介していこうと思います。